蜂児に感染したヘギイタダニに対するミツバチの社会的防衛と関連した特異的刺激


問題意識


ミツバチは何をシグナルにして衛生行動を行っているのか


参照論文


蜂児に感染したヘギイタダニに対するミツバチの社会的防衛と関連した特異的刺激
Specific Cues Associated With Honey Bee Social Defence against Varroa destructor Infested Brood
https://www.nature.com/articles/srep25444


ポイント


Four putative VSH-triggering signals were assessed: mite numbers, developmental stage of sampled bees relative to brood in the immediately surrounding cells, virus infection and brood pheromone levels.

4つの想定されるヘギイタダニ感知衛生行動のトリガーとなるシグナルは次のとおり評価される。:ダニの数、直ぐ周りの巣房の蜂児に関連してサンプルとされた蜂の発達段階、ウイルスの感染、蜂児のフェロモンのレベル

VSH behaviour is selective towards developmentally delayed brood, brood that are likely to become dysfunctional adults if allowed to emerge.

ヘギイタダニ感知衛生行動は、出房するなら機能不全の成虫になりやすい発達遅滞の蜂児に対して選択的である。

Such developmental delays point to a breakdown of the normal metamorphosis process, which is guided by precisely timed hormonal signals.

そのような発達遅滞は通常の変態の停止を強く示唆しており、精確な時刻に作動するたホルモンのシグナルによって導かれる。

Because capped cells normally release small amounts of BEP23, it is likely that a capped cell with high levels of BEP will be interpreted as “abnormal”.

蓋がけ巣房は通常は少量のBEP23を発散させることから、高い水準のBEPを伴った蓋がけ巣房は、「異常」と解釈されることになるだろう。

A significant additional factor is that VSH behaviour appears also to be dependent on the sensory acuity of the detecting bees, which may be compromised by the same viruses facilitating the detection of varroa-infested brood. Thus, VSH behaviour itself may also break down through varroa-transmitted virus epidemics, placing limits on its ability to control mite infestation.

重要な付加的因子は、ヘギイタダニ感知衛生行動も、探知を行う蜂の感覚の鋭敏さに左右されるように見えることであり、その感覚は、ヘギイタダニ感染蜂児の探知を促進する同じウイルスによって弱められているのかもしれない。そのため、ヘギイタダニ感知衛生行動それ自体も、ダニの感染を防ぐ能力に限界を置くヘギイタダニが伝播するウイルスのまん延をとおして機能しないのかもしれない。


コメント


病気の蜂児を見つけ出して外に捨てるというのが、医者や病院のないミツバチの防疫手段で、腐蛆病やその他の病気は概ねこの方法で首尾よく対処されており、ヘギイタダニについても同じなのだが、ヘギイタダニの場合はうまく行っている時もあればそうでない時もあるように思われる。

蜂児捨てはそれほど頻繁に行われているようには思われないが、そうなってしまう理由は論文からははっきりしない。

強群なら衛生班も多いだろうから、衛生行動はみられそうなものだが、強群でもヘギイタダニにやられることはあるので、強群を維持することが解決策とは言えない。


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