翅縮れウイルス:ダニ(ヘギイタダニ)内における複製とウイルス量
問題意識
ヘギイタダニは単に翅縮れウイルスを媒介するだけなのか、翅縮れウイルスに感染すると必ず翅が縮れるのか
参照論文
翅縮れウイルス:ダニ(ヘギイタダニ)内における複製とウイルス量
Deformed wing virus: replication and viral load in mites (Varroa destructor)
https://www.microbiologyresearch.org/content/journal/jgv/10.1099/vir.0.005579-0
ポイント
Quantification of viral genome equivalents revealed that mites capable of inducing an overt DWV infection contained 10^10–10^12 genome equivalents per mite. In contrast, mites which could not induce crippled wings contained a maximum of only 10^8 viral genome equivalents per mite
遺伝子等量の定量化によって、明白なDWV感染を引き起こすことができるダニは、1匹のダニあたり10の10乗から10の12乗の遺伝子等量を含んでいたことが明らかになった。一方で、不具の翅を引き起こすことができなかったダニは、1匹のダニあたり最大で10の8乗の遺伝子等量しか含んでいなかった。
in the absence of V. destructor, DWV persists as covert infections in honeybees (Yue et al., 2007).
ヘギイタダニがいない場合、DWVはミツバチの中に潜伏感染して残っている。
The majority (107 of 135; 79.3 %) of the mites collected from asymptomatic bees contained DWV RNA; no viral minus-strand RNA could be detected.
無症状の蜂から集められたダニの大多数(135匹中107匹、79.3%)にDWV RNAはなかった。つまり一本鎖マイナス鎖RNAウイルスは検知され得なかった。
コメント
ヘギイタダニは翅縮れウイルスを媒介するだけなのではなく、その体内でウイルスを増幅している。
ヘギイタダニに取りつかれている蜂がすべて翅縮れになるわけではない。
その他の情報
ヘギイタダニは「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」も媒介する